小黒 実咲「橋上の思い出」




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2019 11.7(Thu)-12.2(Mon) (火曜、水曜定休 11:30-18:00)

小黒は木版画の技法のプロセスや可能性を追求し、今までにない新たな画面を作り だしました。
そのプロセスについて作者は以下のように語っています。


水性木版画による彫り進み法を用いて制作している。 彫り進み法とは、一枚の 版木を用いて画面に立ちあらわれる色の数だけ、繰り返し彫りと刷りを行い描く 版画の技法だ。

私は、木目に沿って幾重も彫っては刷る。 木目はその樹が生きてきただけの時間 が層になってあらわれたものである。
あるいは、世界をクローズアップしていった 先にある、一つの風景である。
これらの既存の形や時間軸とは別の枠組みで反芻し、 再構築する事で、その物が真に内包する形を描き出している。

画面にあらわれるひとつ一つの形は、一見独立しているように見える。しかし 実際には層を成しながら互いに繋がり、 干渉する事で成立している。
これは、木版画 の特性的プロセスがもたらす効果であるが、私はこの在り方に強い共感を覚える。
私たち個人も、決して一人で存在し得るものではなく、あらゆる “ 個 ” と繋がり、
干渉しあう事で形創られているの ではないか。

制作が進むにつれ次第に模様が増えていく様は、天体観測をしている様だと感じる。
私は、絵を描く行為を通して世界を覗き込んでいるのだ。








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