稲垣 美侑 「息をする spirare」




       




2022 5.3(Tue)-5.22(Sun) (月曜、火曜、水曜定休 11:30-18:00)

「息をする spirare」 展?タイトル「息をする」は、ラテン語「spirare」に由来する。この言葉は、
英語の「Respiration(呼吸)」、「Inspire(刺激を受ける)」、「Inspiration(霊感)」などの語源ともいわれ、
息をする動作は、心に何らかの刺激を吸い込むこと、生きている状態そのものを示唆している。

隔たりと解放、対話と沈黙、喜びと痛み、享受と喪失…
ふいに吸い込んだものが、身体の器を緩やかに押し拡げながら体内へと浸透し、吐きだされるものは
次々と世界へと取り込まれ、循環していく。
はるか彼方の引力に導かれ海?が満ち引きするように、知らずとも、あらゆるものはたえず干渉しあい
存在している。私たちの、この一息さえも。

本展では、今春までのおよそ5年間、稲垣が拠点としていた北関東での暮らしに向けられた眼差しから、
人や場所に内包される記憶を拾いあげ、トポフィリア(*1)をめぐる複層的なイメージを絵画のうちに
描きだすことを試みている。     
                                          
    稲垣 美侑   
      
  (*1)トポフィリア(topophilia):「人々と、場所あるいは環境との間の、情緒的な結びつきのことである。」
(イーフー・トゥアン「トポフィリアー人間と環境」株式会社せりか書房, 1992 年, p.20)


略歴 1989年、神奈川県生まれ。今春から東京に活動拠点を移す。
2014年東京藝術大学美術学部絵画科油画卒業。15年-16年 ナント美術?学(フランス)に留
学、21年3月に東京藝術大学大学院美術研究科後期博士課程を修了。
近年の主な展示に、「ぐぜり Subsong」(個展/Clear Gallery Tokyo/2021年)、「HOLBEIN
ARTFAIR 2021」(渋谷スクランブルスクエア/2021年) 、「自然とともに生きる海女とアーテ
ィスト。昔と今。」(鳥羽市立海の博物館,石鏡町/2021年)、「The Noisy Garden, The
White Crypt うるさい庭、白い地下室」(Art Trace Gallery/2019年)、「パラランドスケープ "
風景"をめぐる想像力の現在」(三重県?美術館/2019年)など。










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